祭祀継承者とは
 
祭祀承継者(さいしけいしょうしゃ)とは、お墓や仏壇、系譜(けいふ)などの「祭祀財産」を受け継ぎ、祖先の祭祀を主宰する者です。

一般的には、相続人や被相続人が指定した人になることが多いです。
 
祭祀継承者がいなければお墓は徐々に荒れていきます。いつまでも放置すればいずれは管理する霊園側で墓石を撤去され墓じまいされてしまうことになるでしょう。

よって祭祀継承者として誰を指定するかは重要です。
 
そこで遺言によって祭祀承継者や祭祀財産を指定することができます。
 
祭祀承継者は「相続人でなければいけない」などの決まりはありません。よって、相続人以外の方を祭祀承継者として指定することも可能です。また、祭祀者承継者を複数人指定することも可能です。
 
祭祀承継者に指定された者は「辞退することはできない」とされていますが、必ずしも祭祀義務を負うわけではありません。(東京高裁 昭28年9月4日)
遺言で祭祀承継者を指定する場合には、できれば生前に了解を得ておくことがベターです。

祭祀の主宰者に指定された者は、葬儀や法要、仏壇や神棚の維持・管理で、少なくない費用が必要になります。
また、葬儀や法要の規模によっては、多額の費用が発生することもあります。
もっとも祭祀財産の承継者は、相続とは関係なく決まることから、祭祀財産を承継するからといって遺産分割で財産を多くもらう権利が生じるわけではありません。
そのため、遺言で祭祀承継者を指定する場合には、そのことも考慮に入れて財産の配分を考えることが必要です。
具体的には、祭祀承継者には他の相続人よりも多めに相続させる、あるいは遺贈する、といったことが挙げられます。
 
遺言で祭祀承継者について指定がない場合には、慣習に従って決めることになります。(民法第897条)
例えば、先祖代々、長男が祭祀承継者となっているような家系であれば、長男が祭祀承継者となります。
なお、遺言の指定も慣習もない場合には、家庭裁判所が祭祀承継者を定めることになります。(民法897条2項)
例:「第○条 遺言者○○は、遺言者及び祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男○○を指定する。」
「第○条 長男○○には、墓地を含む○○家代々の墓及び仏壇など祭祀に必要な財産の一切を相続させる。」
 

(祭祀に関する権利の承継)
民法第897条 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。

2項 前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。
 
 
まとめ
祭祀継承者は、維持管理にある程度の金額が必要になりますので、遺言で祭祀継承者を指定する場合は、祭祀継承者になる者には、それだけ相続権を多く配分することが後のトラブルを減らし、気持ちよく家を守っていくための最善の手段だと思われます。