付言事項とは
 
付言事項(ふげんじこう)とは、遺言書において遺言者が自分の意思を補足するために記載する、遺産分割とは直接関係のない個人的なメッセージのことです。付言事項は法的効力を持たないため、遺産分割の決定には影響を与えませんが、生前に伝えられなかった遺言者の意思や気持ちを伝える重要な手段となります。主に相続人への心情や、遺産分割を行う際の参考になるような補足的な情報を記すために使用されます。

付言事項の主な内容
1、相続人へのメッセージ
     遺言者が相続人に向けて感謝の気持ちや励ましの言葉を記すことが一般的です。
     例:「相続人○○にはいつも助けられ、心から感謝しています。あなたがこれからも幸せに過ごせるよう祈っています。」
2、遺産分割に関する意向
     付言事項に、遺産の分割についての希望や、具体的な理由を述べることがあります。例えば、なぜ特定の相続人に多くの財産を譲るのか、その背景にある事情や経緯を説明することができます。
    例:「長男に私の家を相続してほしいのは、彼が長年にわたりずっと世話をしてくれていたからです。」
3、自分の考えや意思の伝達
     遺言者が生前に持っていた考えや、特定の事柄についての意図を明確に伝えるためのものです。
    例:「私が残す財産は、あなたたちが平等に使ってほしいという思いからのものです。どうか、争わずに仲良く分けてください。」
4、社会的・宗教的信念に基づいた希望
     遺言者が生前に大切にしていた信念や社会的な理念に基づいて、遺産の使い道や他者への寄付などについて記載することもあります。
     例:「私が集めた美術品は、私が愛してきた地域の美術館に寄付してほしい。」
 
付言事項のメリット
1、相続人への心情の伝達
     遺産分割に関する法律的な記載に加え、遺言者の想いを伝えることができ、相続人が遺言内容に対して納得しやすくなる場合があります。
2、トラブルの予防
     明確な理由を示すことで、遺産分割における誤解や争いを防ぐ助けとなることがあります。特に不公平に見える分配について、その背景を伝え、理解することで、相続人間での摩擦が減少することがあります。
3、遺産の使い道に関する指示
    自分が残した財産がどのように使われてほしいかという具体的な希望を伝えられるため、遺産の使い道に関する指示をすることができます。
 
付言事項のデメリット
1、法的効力がない
     付言事項は法的効力を持たないため、遺言者が記載した意図や希望が必ずしも実現されるわけではありません。特に遺言書が遺産分割の決定に対して強制力を持つことに対し、付言事項は法的には単なる意見に過ぎないため、実行される保証はありません。
2、逆に誤解を招く可能性がある
     付言事項が曖昧だったり、感情的な表現に偏ったりすると、相続人がその意味を取り違えたり、意図が伝わりづらいことがあります。
3、後々の相続争いを招く可能性
     付言事項に記された内容が事務的で感情的に過ぎると、相続人がその内容を争点にして争いを引き起こす可能性もあります。特に「特定の相続人に対して不公平だ」と感じる場合、相続人間での対立を生む可能性もあります。
 
 
まとめ
付言事項は遺言書における補足的な要素であり、遺言者の意思や気持ちを相続人に伝えるために非常に有用です。遺産分割に関する法的効力は持ちませんが、遺産分割を円滑に進めるための参考になり、相続人間の理解を深める手助けとなります。ただし、記載方法や内容には注意が必要で、誤解を招かないように表現することが重要です。
遺言書には付言事項として、遺言の内容に相反しないよう、また事務的な表現にならないよう、遺されたご遺族の方々へ、生前には伝えられなかった愛情溢れる想いを是非書き遺しておきましょう。